法人口座複数開設のメリットとデメリット|最適な口座選びと使い分け術

Hoi Yi Leung

金融機関の法人口座を複数開設することは可能です。用途別の管理や手数料の最適化、銀行ごとのサービス活用などの理由から、多くの事業者が複数口座の開設を検討します。この記事では法人口座の複数開設におけるメリット・デメリットと、海外送金に便利なWise法人アカウントについて解説します。

目次🔖

法人口座複数開設のメリット

法人口座複数開設のメリットは5つです。

法人口座を複数開設することで資金管理しやすくなる

法人口座を複数開設することで個人事業主や法人の資金管理が分かりやすくなります。 たとえばA銀行の法人口座は出金用、B銀行の法人口座は入金用にしていたとします。入出金を別々の法人口座で管理することで、記録が見やすく、そして分かりやすくなる点がメリットです。

複数の事業を展開しているなら事業ごとに法人口座を分ければ、それぞれの事業の資金状況が把握しやすくなります。 また、法人の部門ごとに法人口座を複数作って分けて管理すれば、他の部門と資金や入出金記録が混ざってしまうこともなくなり、管理や確認時に分かりやすくなることでしょう。

法人口座を複数開設することで資金の管理や確認、把握がしやすくなるというメリットがあります。

サービスにあわせて複数の法人口座を使い分けできる

法人口座の開設に対応している銀行同士でも、

  • 何に力を入れているか(強み、得意分野)
  • どのようなサービスを提供しているか
  • 知名度や信頼性 が異なります。

A銀行は事業資金の融資に力を入れている。対してB銀行は経営や資金繰りの相談など事業支援に力を入れている。このように、金融機関によっても力を入れている分野や具体的なサービス内容が違っています。

複数の金融機関に法人口座を開設しておけば、融資に強い銀行からは事業資金を借り、支援に強い銀行にはアドバイスを求めるなど、金融機関のサービス内容や得意分野にあわせて使い分けできます。

参考として法人口座の使い分け事例をご紹介します。

  • 地方銀行と都市銀行の法人口座を使い分ける / 融資を受けやすい地方の銀行の法人口座と信頼性の高い都市銀行の法人口座を開設し、資金調達と自社の信頼性アップを両立させる
  • ネット銀行と都市銀行の法人口座を使い分ける / 各種手数料の安いネット銀行の法人口座と信頼性の高い都市銀行の法人口座を開設し、コスト削減と自社の信頼性アップを両立させる

複数の法人口座開設で資金調達しやすくなる

法人や個人事業主が銀行などから融資を受ける場合、法人口座の使用状況や実績なども審査の参考資料になります。複数の法人口座を開設してそれぞれの口座で入出金などの実績を積み上げておくことで、複数の金融機関から融資を受けやすくなるというメリットがあります。

A銀行のみで法人口座を開設している場合、実績を積み上げておけるのはA銀行だけです。 B銀行やC銀行にも法人口座を開設して、常日頃から使っておくことで、「事業資金に困っている」「まとまった事業資金が必要だ」というときは、A銀行だけでなく、B銀行やC銀行にも気軽に相談できます。

仮にA銀行に融資を断られても、C銀行やB銀行なら融資してくれるかもしれません。複数の法人口座開設先を比較して、より良い条件でお金を貸してくれる先を選ぶことも可能です。

法人口座を複数開設することでコスト削減に繋がる

法人の複数口座開設には手数料などのコストを削減できるというメリットもあります。

住信SBIネット銀行の法人口座送金では、金額に関わらず送金手数料が税込145円になっています。¹優遇プログラムが適用される場合は税込130円です。楽天銀行だと自行口座への送金は52円ですが、他の銀行への送金は3万円までが税込152円、3万円以上だと税込229円になっています。²

住信SBIネット銀行と楽天銀行を比較すると、他行への送金は住信SBIネット銀行の方がお得です。 住信SBIネット銀行と楽天銀行の両方に法人口座を開設しておけば、送金ケースごとに手数料の安い方を選んで使えます。

法人口座を複数開設することで、手数料などのコストを削減しやすいというメリットがあります。

金融機関が破綻したときの対策になる(ペイオフ対策)

法人口座が1口座だけだと、口座開設先の金融機関が破綻したときに影響を受けてしまいます。 入出金などが難しくなり、事業に被害が出てしまう。資金に被害を受けてしまう。このようなリスクが考えられます。

金融機関が破綻したときは、預金保険制度の対象内のサービス・資金については保護される仕組みです。³⁴

  • 決済用貯金(利息のつかない普通預金や当座貯金)は全額保護
  • 利息のつく普通預金や定期預金、定期積金などは合算して元本1,000万円までと金融機関が破綻する日までの利息を保護
  • 外貨貯金などは原則的に保護対象外

預金保険制度という破綻時の保護制度はあるものの、資金がすべて保護されるわけではありません。法人口座に限らず資金をひとつの金融機関に集中させておくことにはリスクがあるのです。

複数の銀行口座を開設して資金を分散管理すれば、金融機関が破綻したときの影響を最小限におさえられます。資産運用の分散投資と同じ理屈です。

法人口座複数開設のデメリット

法人口座複数開設にはメリットもありますが、次のようなデメリットがあることも忘れないようにしてください。 法人口座を複数開設するデメリットは3つです。

法人口座の開設手続きを複数回行わなければならない

法人口座を開設する場合、開設先の金融機関に口座開設の申し込みをしなければいけません。 法人口座開設のために記入が必要な情報や提出すべき書類は似ていることも少なくありません。

A銀行に記入した内容と同じ内容をB銀行にも記入して提出し、同じような書類を提出する。次にC銀行に法人口座を開設するときも、また同じような申し込みと手続きを繰り返す。複数の法人口座を開設する場合、同じような手続きを複数回繰り返さなければならないというデメリットがあります。

複数の法人口座を開設すると管理や維持に手間と時間がかかる

法人口座は1口座より2口座、3口座より4口座と、開設数が増えればその分だけ管理や維持に手間と時間がかかります。

たとえば、GMOあおぞらネット銀行のみに法人口座を開設していたとします。この場合はGMOあおぞらネット銀行の法人口座のみの資金状況の把握や入出金の管理、パスワードなどの管理をすれば問題ありません。

仮に金融機関側から「法人口座を使い続けるために追加で書類が必要です」と言われても、GMOあおぞらネット銀行だけに書類を提出すればいいので、それほど手間も時間もかかりません。

GMOあおぞらネット銀行に加えて三井住友銀行にも法人口座を開設すると、法人口座の管理にかかる時間と手間は単純計算で2倍になります。 金融機関側から「法人口座を使い続けるために追加で書類が必要です」と言われた場合も2つの銀行に書類を提出しなければならないため、1口座を維持するより大変です。

複数の法人口座を開設すると維持費などのコストが増す

複数の法人口座でインターネットバンキングなど諸サービスの契約をすると、維持費や手数料などがかかります。 インターネットバンキングの維持費は1カ月あたり2,000円~15,000円くらいが相場です。法人口座が複数あると「法人口座の数×インターネットバンキングの費用」がかかります。

法人口座を複数使い分けていると、その分だけ維持費などのコストが増えるところがデメリットです。 複数の法人口座を開設して「海外や国内への送金手数料が安いところを有効活用してコスト削減」と思っても、複数口座の維持費でかえってコストが増える可能性があります。注意してください。

Wise法人アカウント:グローバル展開する企業に最適

日本の銀行の法人口座は、日本円以外の通貨を扱う企業には不便なことが多いです。たとえば、海外送金は手続きが煩雑で、手数料が高額になる傾向があります。また、複数の通貨を保有する場合も、対応が限られていたり、手数料が高く操作が不便だったりします。

Wise法人アカウントは、こうした課題に対応するために、海外で事業を展開する企業向けに設計されています。Wiseなら、海外送金、複数通貨の保有・決済をミッドマーケットレート(為替手数料なしの純粋な為替レート)と、透明性の高い手数料で行えます。

Wise法人アカウントのメリット

銀行とWiseの海外送金比較

送金額が大きいほど、従来の銀行や送金プロバイダの為替手数料は企業にとって大きなコストになります。Wiseは、市場レートに基づく為替レートを採用しているため、特に高額送金を頻繁に行う企業にとっては、複数の法人口座開設より手数料の節約につながります。Wiseでどれだけコストを削減できるか確認してみてください。

Wiseで法人口座を開設

同じ銀行に複数の法人口座を開設できる?

同一銀行に複数口座を開設することは可能なのでしょうか。 結論から言うと、複数の法人口座を開設できる銀行と、できない銀行があります。銀行によって対応状況が異なります。

たとえばみずほ銀行の場合は同一法人で複数口座の開設が可能です。⁵ なお、銀行によっては法人口座の開設自体ができないこともあります⁶。法人口座開設の可否や複数口座開設の可否などは、あらかじめ確認しておくことが重要です。

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まとめ

複数の法人口座の開設には「手数料を節約できる」などのメリットがあります。ただ、複数の法人口座を開設することで維持費が増えてしまうなど、かえってコストが増えてしまう可能性があります。

コスト削減のために法人口座を複数開設するなら、銀行の法人口座とWise法人アカウントの併用を考えてはいかがでしょう。 Wise法人アカウントには、

  • 海外送金のコストを削減できる(低コストの送金)
  • 隠れた手数料や月額料金も発生しない
  • 節約と分かりやすい経費管理を両立できる
  • 会計ソフトウェアと連携させて使える などのメリットがあります。

Wise法人アカウントでコストを削減しつつ、銀行の法人口座で資金調達する。このようにサービスや口座を賢く使い分けてはいかがでしょう。

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ソース
  1. 手数料・金利 | 法人のお客さま | NEOBANK 住信SBIネット銀行
  2. 金利・手数料 | 法人のお客さま | 楽天銀行
  3. 万が一金融機関が破綻した時 | 預金保険機構
  4. 預金保険制度:金融庁
  5. 【法人】みずほ銀行に同一の法人で口座を複数開設したい。 | FAQ(よくあるご質問)法人のお客さま
  6. 法人名義で口座開設できますか(みんなの銀行)

*最新の手数料に関する情報は、お住まいの地域の利用規約およびサービスの利用条件をご確認いただくか、Wiseの手数料ページをご覧ください。これは一般的な情報提供を目的としたものであり、Wise Payments Limitedまたはその子会社、関連会社による法律、税務、その他の専門的なアドバイスを意味するものではありません。また、ファイナンシャルアドバイザーやその他の専門家によるアドバイスの代わりになるものではありません。



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