法人カードの個人利用はNG?ポイント・マイルの扱いや税務上の注意点をわかりやすく解説

Hikaru Osaka

法人カードとは、個人事業主や中小企業の経営者、会社の従業員などが事業のために使うクレジットカードです。

法人カードが手元にあると「現金の持ち合わせが少ない」「面倒なのでキャッシュレス決済を利用したい」などの理由から、個人的な買い物への利用も考えてしまうかもしれません。

法人カードを個人的な支払いに使っても問題ないのでしょうか?

  • 法人カードの個人利用はOK?
  • 法人利用カードと個人利用カードの使い分け
  • 法人カードのポイント・マイルは誰のものか
  • 税務調査上の問題

などのポイントを分かりやすく解説します。

また、手数料がお得なサービスとしてWise法人アカウントについてもご紹介します。

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目次🔖

法人カードの個人利用はOK?NG?【税務・会計の基本】

クレジットカードには2つのタイプがあります:

個人向けのクレジットカード

  • 個人の支払いに使えるクレジットカード
  • 発行時は個人が審査対象になり、使用分は個人口座から引き落としされる
  • 個人や家族向けのレジャーや保険などの特典が付いている

法人向けのクレジットカード

  • 法人や個人事業主向けの事業用クレジットカード
  • 発行時は法人や代表者が審査対象になり、使用分は法人口座あるいは個人口座から引き落としされる
  • 法人の仕事に役立つタイプの特典が付いている

個人向けは個人が日常や生活の支払いに使う用のクレジットカードです。対して法人カードは中小企業や個人事業主など、ビジネス向けのクレジットカードになっています。

中小企業や個人事業主が法人向けのクレジットカードを発行した場合、個人向けのクレカのように「個人の支払いに使ってしまって大丈夫なのか?」という問題があります。

結論から言うと、法人カードの個人利用はNGです。

法人カードを個人利用する問題点

お店で法人カードを出して「このカードで支払いたいです」と申し出ること自体は可能です。ただ、個人的な買い物にこのような方法で支払ってしまうことには、問題点が多々あります。

経理上の問題点

  • 法人カードを個人利用することで、個人の支払いを法人が立て替え払いするかたちになる
  • 経理が複雑化するという問題点がある

業務上の問題点

  • 社員の誰かが法人カードを個人利用すると、経理担当の社員が個人利用分の仕訳や経理処理をしなければならない
  • 経理担当社員の仕事が増えてしまうという問題点がある

税務上の問題点

  • 法人カードを個人利用することで「法人のお金を使い込んでいる」と判断される可能性がある
  • 脱税を疑われる

給与だと疑われるという問題点

  • 法人カードの個人利用は「法人からお金を借りている」と判断される可能性がある
  • 会計上は役員貸付金として処理され、ケースによっては個人利用分が給与だと判断されトラブルになる可能性がある

融資上の問題点

  • 役員貸付金があると個人が法人のお金を借りている状態になってしまうため、金融機関が不信感を持つ
  • 融資の審査で不利になる可能性がある

自分の買い物の際に法人カードで支払うこと自体は理屈的には可能なものの、「問題点があるため、個人利用はNG」が結論です。

個人決済型の法人カードは個人利用できる

法人カードは原則的に個人利用NGです。ただ、個人決済型の法人カードについては個人利用しても問題ありません。

  • 法人決済型の法人カード: 使用分は法人の口座から引き落としされる。支払いが法人口座なので個人利用はNG
  • 個人決済型の法人カード: 使用分は個人の口座から引き落としされる。支払いが個人口座なので個人利用しても問題ない

よくあるパターン別チェック&対処法。法人カード・個人カードの“使い分け”、本当に大丈夫?

法人カードの個人利用とは具体的にどのようなケースのことなのでしょうか。

個人利用とは、個人での買い物や生活費の支払いなど、個人が負担すべき支払い(プライベートな支払い)に使ってしまうことです。

法人カードが使えるのは、法人や個人事業主の事業・仕事に必要な支払いです:

  • 法人や個人事業主が使う物の支払い: 文具、事務用品、消耗品
  • ビジネスのために必要な出張費や交通費: ガソリン代や公共交通機関の代金、ホテル代、駐車代
  • 法人や個人事業主の接待費や会議費: 取引先をもてなすための食事代、取引先への贈答品代、会議室のレンタル費用
  • 法人や個人事業主のビジネスに必要な光熱費: ガス代や水道代、電気代
  • ビジネスのために必要な通信費: ビジネスで使う携帯電話や固定電話の費用、切手代、取引先への年賀状代
  • 法人や個人事業主の研修代や仕事のための本や新聞の費用 など

法人カードで支払えるのは基本的に「ビジネスに関係のある範囲」「仕事に必要な支払い」です。逆に考えると、事業や仕事に関係のない個人的な支払いは基本的に個人利用になってしまいます。

法人や個人事業主の経費について分からないことがあれば、税務署や税理士に確認しておきましょう。

法人カードの個人利用を防止する方法

法人カードを個人利用しないようにしても、支払いの際にミスするかもしれません。だからこそ法人側も個人利用の対策を講じておくことが重要です。

法人カードの個人利用を防止するための対策は7つあります:

  1. 法人・個人事業主が法人カードでの支払いについてルールを作っておく
  2. ポイント・マイルの利用についてもルールを作成する
  3. 個人利用については個人のクレカを使うよう従業員に指導する
  4. 法人カードの利用上限額を設定する
  5. 法人カードの利用先に制限をかける
  6. 経費の支払いが必要なときだけ社員に渡す
  7. 利用明細や領収書の確認と管理を徹底して行う

法人カードの個人利用を防ぐためにも、「使ってもOKな支払い」「ポイント・マイル利用」などについて明確なルールを作っておきましょう。また、利用先に制限をかける機能を持つ法人カードを使うことも対策のひとつです。

必要な支払いがあるときだけ法人カードを渡す(持ち出す)という方法や、支払いごとの請求書も発行し、利用明細と併せて確認と管理を忘れずに行う方法などがあります。

個人カードの法人利用はどう管理すればいい?

法人カードの個人利用はNG。では、逆はどうなのでしょう。法人の代表者や個人事業主の個人カードを法人のための支払いに使うことは可能なのでしょうか?

結論を言うと「可能」です。

法人の経費などを個人カードで立て替え払いすることは、会計上も特に問題ありません。

ただ、個人向けのクレジットカードで法人の支払いをする場合は注意すべきポイントがあります。税務調査で問題になる可能性がありますので、ポイントには重々注意してください:

  • 法人に個人カードの支払いが含まれていると税務署に「本当に法人の経費なのか?」と疑われる可能性があると知っておく
  • 個人カードの利用明細だけでなく支払い分の領収書をもらっておく
  • クレカの利用明細だけではインボイス制度の仕入税額控除はできない
  • いつ・どこで・誰が・何のために・いくら個人カードで支払ったのか分かるようにしておく
  • 法人の仕訳や勘定科目に注意する
  • 個人利用分の支払いと明確に分けておく

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法人カードの個人利用に関するよくある質問

法人カードの個人利用についてよくある質問事項をまとめました。

Q:法人カードで得たポイントは誰のもの?

法人カードを使って得たポイント・マイルは基本的に法人のものです。

法人カードのポイント・マイルを個人利用することも控えた方がよいと言えるでしょう。

法人によっては法人カードのポイント・マイルは自社のために使っています:

  • 還元分のポイントで支払い、コストを削減する
  • ビジネスのための出張でマイルを有効活用する
  • 使い方も法人次第です

法人が「自社のビジネスのために使う」と決めているポイント・マイルを勝手に個人利用すると、会社や他の社員とトラブルになってしまう可能性があります。

法人カードは個人利用のためのものではなく、あくまで法人のもの。このような意識で個人利用は控えた方が無難です。

ご自身が社員の場合は、念のためにポイント・マイルの取り扱いルールを確認しておきましょう。経営者や個人事業主の方の場合、法人カードのポイント・マイルの取り扱いルールを明確に決めておくことが重要です。

Q:税務調査で問題になることは?

法人カードの個人利用は税務調査で問題になる可能性があります。

法人税の税額を減らすために個人利用しているのではないか。会社の経費に計上している個人利用分があるのではないか。税務署からこのような疑いをかけられる可能性があるため、注意してください。

まとめ

法人カードの個人利用はNGです。

個人事業主や中小企業が税務調査で疑われないためにも、法人利用と個人利用のカードは分けることをおすすめします。

法人カードの使い分けならWise法人アカウント/デビットカードがおすすめです。Wise法人デビットカードは海外送金の手数料が安く、海外との取引がある法人のコスト削減に役立ちます。

法人の経費を分かりやすくするために。個人利用と分けて使うために。そして、コスト削減のために。Wise法人アカウント/デビットカードを有効活用してはいかがでしょう。

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ソース
  1. UPSIDER
  2. インボイス制度開始後において特にご留意いただきたい事項(1

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